2024.06.07
「僕のパンツ、何処行きました?」
テレビ画面から消え去ったパンツの行方が気になったのか、可哀そうな松田君が今にも消入るかのように言いました。所長を見る目は恨めし気でした。
「・・・パンツロスだな、これは・・・」
「ジョーダンじゃないですよ!これからどーすんですか?このままじゃ僕はお婿にいけない」
「とにかくだ、今は掴んだ物を決して離すな。警察に捕まる事だけは避けなければ」
「そんな事言ったって。今パンツが何処行ってるのかも分からないんですよ。早く何とかしてくださいよ」
「分かっている。大至急コントローラーを修理するから」
「すぐ治せるんですよね?」
「大丈夫、ちゃんと設計図があるから。すぐにも直せるよ、心配ない。お婿に行けるって」
そう言って所長は、自分のデスクに向かいました。そしてあちこち書類を探している様でしたが、やがて悲しげな瞳を松田君に向けるのでした。
「所長?どうしたんですか?」
「いやね、松田君、私としても想定外の事が起きた様だ・・・」
「それじゃ分かりませんよ、設計図は見つかったんですか?」
「それが・・・・・・・ないんだ」
今度は所長の声が消入りそうでした。
「はあ?もう一度言って下さい。設計図はあるんですよね?」
いきなり崖っぷちに立たされ、切羽詰まった松田君の問いに所長は無慈悲に答えるのでした。
「見つからないんだ・・・何処を探しても」
松田君は奈落の底に突き落とされたのでした・・・
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